Hitz技報第74巻第1号

高効率ごみ焼却発電施設を計画するうえで、排ガス処理システムで消費され捨てられていた蒸気エネルギーを、少しでも多くタービンへ供給する方策は欠かせない。同時に、年々強化される排ガス保証値を満足する高性能を、建設から運用まで低コストに実現しなければならない。
当社では、窒素酸化物30ppmを保証可能な高効率無触媒脱硝装置(NeoSNCR®)、硫黄酸化物、塩化水素ともに10ppmを保証可能な高性能乾式排ガス処理装置(RSorp®)をラインナップし、高性能だが高コストでエネルギー消費量が大きい触媒脱硝装置と湿式排ガス処理装置の代替を可能とした。

文責者
臼谷 彰浩
共同執筆者
近藤 守、氏原 龍秀、嶋崎 伸吾、古林 通孝、濱 利雄

当社は薄膜シリコン太陽電池やCIGS太陽電池に代表されるガラス基板タイプの薄膜系太陽電池向けレーザ加工装置の商品開発に成功し、2005年以降、多くの太陽電池製造メーカへの装置導入実績を持つ。近年は太陽電池市場の拡大と競争の激化により製造装置の更なるコストダウンが要求されている。そのため、ガルバノスキャナ光学系による新しいレーザ加工技術を開発し、従来装置と同じ処理能力に対する装置コストの低減を実現した。また、エッジデリーション加工技術、ガラス穴あけ加工技術など新しい製造プロセスへの応用展開を実現した。更には、今後新しい市場を形成すると言われているフレキシブル基板タイプの次世代型太陽電池へのレーザ加工技術も確立した。

文責者
中山 茂昭
共同執筆者
山下 拓人、山田 紘義、細見 和裕、中村 拓郎

マイクログリッドシステムとは、エネルギー供給源(分散型電源)と消費施設から構成され、エネルギーの需要と供給を適合させるよう情報通信技術を利用し、エネルギー・ネットワークを管理運転するシステムである。当社では、分散型電源として、太陽光発電、風力発電などのグリーンエネルギーと複数の発電装置、蓄電装置を組み合せて安定的に電力を供給するマイクログリッドシステムの開発を実施している。本システムを工場や各種プラントへ導入した場合に情報通信技術と融合した新たなエネルギーソリューションを提供することができる。また省エネルギー、低炭素社会への貢献が可能と考えている。

文責者
岡田 紀之
共同執筆者
向井 俊文、山崎 康裕、小川 祥太、出井 佑弐朗、佐藤 忍、北村 暁晴

当社では、新たなバイオポリマーとして100%生物に由来するトチュウエラストマー®の生産技術を構築し、製品化に向けて開発を進めている。トチュウエラストマー®の構造上の特徴としては、ビニル構造やシス型構造を含まない高い立体規則性のポリ(トランス-1,4-イソプレン)であり、比較的高分子量である。物性における特徴は、常温では結晶性で硬いが低融点、力学的強度に優れている、耐衝撃性、加硫可能などである。さらに、加硫したトチュウエラストマー®では、低融点の結晶性ポリマーであることから、形状記憶性能を有している。これらの特徴を活かして、広範囲な製品分野において製品化を進めている。

文責者
武野 真也
共同執筆者
柚木 功、武野 カノクワン、原田 陽子、中澤 慶久
大阪大学 利光 謙一、辻本 敬、宇山 浩

トランスポリイソプレンは陸上高等植物中で産出されるポリマー(分子量~1000万)で、それらを工業原料化することが出来れば、再生可能資源由来の新たな炭化水素源となる。トチュウは組織内に多量のトランスポリイソプレンを蓄積する植物であり、かつ高い耐乾燥性を保有する。このため温帯ステップ荒廃地等への大規模植林が容易であり工業的利用価値が高い。しかし、トチュウ由来トランスポリイソプレンの利用拡大を図るには、さらなる生産性の向上が必要とされる。このことから本研究グループでは、トチュウトランスポリイソプレンの生産性向上を目的に、その生成機構の解明と改良に取り組んでいる。本稿ではこれらの活動の中から最近の研究成果の一部を紹介する。

文責者
鈴木 伸昭
共同執筆者
梶浦 裕之、山本 直樹、原田 陽子、中澤 慶久

1990年から2010年の20年間の世界のエネルギー消費量を外挿すると世界の石油、天然ガス、ウランおよび石炭資源は2040年、2043年、2046 年 および2053年 までに枯渇する。エネルギー枯渇の問題を解決するためには、出力変動が激しく利用しにくい再生可能エネルギーを利用しやすい燃料の形に変換して、供給することである。私たちは、二酸化炭素を原料として、再生可能エネルギーで得られた電解水素と反応させてメタンの形で使うグローバル二酸化炭素リサイクルを20年来提案している。このために、水素製造のための省エネルギー陰極、海水電解でも塩素を発生せずに酸素のみを発生する陽極、二酸化炭素と水素からメタンを造る触媒を創製し、実証プラントおよび産業規模のパイロットプラントを建設して来た。産業化も徐々に進んでいる。

文責者
アタカ大機株式会社 熊谷 直和
共同執筆者
アタカ大機株式会社 泉屋 宏一、高野 裕之、
東北工業大学 橋本 功二、加藤 善大、
北海道大学 幅崎 浩樹、
物質・材料研究機構 秋山 英二、
熊本大学 山崎 倫昭

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