コーポレート・ガバナンス

基本的な考え方

当社は、株主・顧客・事業パートナー・社会・職員をはじめとするステークホルダーの皆様の期待に誠実に応え、経営の健全性、透明性、効率性を確保していくことが持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に不可欠であると認識し、経営上の重要課題としてコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。

取締役会

2023年6月より、1名減員の8名(うち、独立社外取締役4名)で構成しています。ガバナンス体制をより一層強化するために独立社外取締役を1名増員して半数とし、専門性や多様性といった観点から1名の外国籍の取締役、2名の女性の取締役が含まれています。取締役会は法令で定められた事項のほか、経営の基本方針・戦略をはじめとする重要事項の決定ならびに業務執行を監督しています。
なお、当社は執行役員制度を導入しており、取締役の業務執行機能の一部を執行役員(20名)に委譲することにより、取締役会の監督機能強化と業務執行の迅速性確保の両立を図っています。
また、経営戦略会議を設置し、経営管理・事業運営に関する基本方針・重要施策の審議と経営判断が適時・的確に行われる体制をとっています。特に重要な事項は経営戦略会議で審議した後、取締役会でさらに審議を十分に行い、その可否を決定することとしています。

  • 2023年3月期の開催回数:14回 出席率:100%

監査役会

当社は監査役制度を採用しています。
監査役は監査役会を開催し、監査意見の集約を行っています。加えて、内部統制システムの整備状況、運営状況を監視・検証し、必要に応じて取締役および執行役員に助言・勧告するなどの必要な措置を講じています。
また、社外監査役2名を含む監査役4名は取締役会に、常勤監査役2名は経営戦略会議をはじめとする社内の重要会議にも出席して、中立的な立場からの意見表明、取締役および執行役員の業務執行に対する監査を行っています。

  • 2023年3月期の開催回数:8回 出席率:100%

指名・報酬諮問委員会

当社は、取締役および監査役候補者の指名、社長、代表取締役の選定・解職ならびに取締役の報酬に関わる重要事項について、任意の委員会による審議・答申を経て、取締役会において審議・決定することで手続きの客観性・透明性を確保し、かつ、説明責任を果たすことを目的として、2018年より任意の諮問機関である「指名・報酬諮問委員会」を設置しています。
同委員会は、委員長を独立社外取締役とし、その他の独立社外取締役3名、独立社外監査役2名、取締役社長兼CEOを加えた計7名で構成しています。6名の社外役員より適切な関与・助言を得ることで、役員人事および取締役の報酬の透明性、妥当性、客観性の確保を図っています。

  • 2023年3月期の開催回数:5回 出席率:100%

取締役会の実効性評価

目的

取締役会の機能・運営に関わる課題を把握し、積極的に改善を図ることが、コーポレート・ガバナンスの強化、ひいては企業価値の向上に資するという考えの下、2016年度より、一事業年度に1回の頻度で、取締役会の実効性についての評価を実施しています。

評価方法

全取締役・監査役を対象にアンケート方式により実施しました。具体的な評価手順とスケジュールはコーポレート・ガバナンス報告書を参照ください。

アンケート質問項目

下記の5つのカテゴリーごとに複数の質問項目を設け、5段階評価および自由記述形式で実施しました。
質問項目は、当社における課題や外部環境の変化も踏まえた上で決定しています。

  1. 1取締役会の役割・責務
  2. 2審議の活性化
  3. 3取締役会の構成・体制
  4. 4運営の最適化
  5. 5指名・報酬諮問委員会の役割

2023年3月期の評価結果の概要

当社取締役会は、長期ビジョンのレビュー、新中期経営計画の策定、サステナビリティの推進、ポートフォリオ・マネジメントによる事業の選択と集中、経営人材育成などの重要議題について、十分な審議時間の確保、活発な議論を喚起するための資料提供や説明が行われていると評価しました。運営方法において一部改善・工夫が必要であるものの、取締役会の役割は全体としては有効に機能していることを確認しました。

取締役会の課題に対する取り組み

2022年3月期の実効性評価で抽出した課題に対する2023年3月期の取り組み状況および社外取締役・監査役の意見は以下の通りです。

1
取締役会における重要テーマに関する議論の充実
2022年度の取り組み方針

以下の重要テーマを年間運営計画に組み込み、十分な審議時間の下での議論に努める。

  • 長期ビジョンおよび次期中期経営計画の検討
  • サステナビリティの推進
  • 人材戦略の構築および推進
  • ポートフォリオ・マネジメントの推進
  • 重要な子会社の経営状況の監督
2022年度の主な実施事項

年間の運営計画に基づき、上記重要テーマについて十分な審議時間の下で議論を実施。

(主なテーマ)

  • 長期ビジョン「2030 Vision」および中期経営計画「Forward 25」の策定
  • 「サステナブルビジョン」および7つの「成功の柱」(マテリアリティ)の策定
  • 経営人材育成プログラムの開始
  • 他社とのアライアンス(舶用エンジン事業、原子力関連事業)
  • 子会社株式の一部譲渡(物流事業)
  • ビジネスモデルの拡大(陸上風力発電事業など)
社外取締役・監査役の意見
  • 長期ビジョンおよび次期中期経営計画の検討やサステナビリティの推進などの重要テーマについては活発な議論を実施できた。
  • 中長期戦略(海外戦略、人事戦略、脱炭素化戦略)の構築や、投資案件の審議のあり方について、2023年度も引き続き議論が必要。
  • 海外戦略については取り組み方針、ガバナンス、リスクなどの多面的な議論が必要。
  • 安全・品質への取り組みの報告も充実させてほしい。
2023年度の取り組み方針

中長期的な人事戦略・海外戦略・DX戦略・サステナビリティの推進、投資案件を重点テーマとして年間の運営計画に盛り込み、さらに議論を深める。

2
ガバナンス体制の強化
2022年度の取り組み方針

指名・報酬諮問委員会の機能強化に取り組み、サクセッションプラン、取締役および執行役員の選任要件、役員報酬制度等について検討を進め、ガバナンス体制の強化を図る。

2022年度の主な実施事項

取締役会は重要テーマの審議を通じてガバナンス体制の強化につなげた。また、指名・報酬諮問委員会を5回開催し、サクセッションプランや執行役員を含めた役員スキル・マトリックスについて検討を進め、経営人材育成プログラムを開始。

社外取締役・監査役の意見
  • 取締役会の運営と機能は一貫して改善されている。
  • 取締役会の監督役割において議論の範囲と質はより適切なものになった。
  • 統治機構のあり方、サクセッションプラン、役員報酬制度などは、2023年度以降も引き続き検討が必要なテーマである。
2023年度の取り組み方針

コーポレート・ガバナンス(取締役会と経営戦略会議の役割、サクセッションプラン、役員報酬制度など)のあり方を重点テーマとして年間の運営計画に盛り込み、さらに議論を深める。

3
オフサイト・ボード会議(取締役、監査役および事業本部長による任意の会議)の継続実施
2022年度の取り組み方針

テーマ選定や資料の内容を改善しながら、2022年度は長期ビジョン、次期中期経営計画の策定に関わるテーマを中心に議論を充実させる。

2022年度の主な実施事項

「サステナブルビジョン」および7つの「成功の柱」(マテリアリティ)をテーマに議論。オフサイト・ボード会議での自由で活発な議論は取締役会での審議に活かされ、「サステナブルビジョン」および7つの「成功の柱」(マテリアリティ)の決定に寄与。

社外取締役・監査役の意見

オフサイト・ボード会議はフランクに意見交換できる場として有意義。時間配分とテーマ設定に関してさらに検討を重ね、活発な議論を誘発させる工夫をしてほしい。

2023年度の取り組み方針

オフサイト・ボード会議は、取締役会を補完する重要な位置付けであるため、2023年度もテーマ設定を工夫した上で継続実施する。

4
社外役員に対するサポート体制の充実
2022年度の取り組み方針

社外役員に対する事前説明を量・質ともに充実させる。特に重要かつ喫緊のテーマは、これまで以上に説明の機会・時間を増やし、社外役員の十分な理解を得られるよう注力し、取締役会における審議の活性化を図る。

2022年度の主な実施事項
  • 社外役員が取締役会の議案内容やその他経営の重要事項などについて、これまでの経緯、関連情報を含め十分な情報を得られる機会の提供に努めた。
  • 取締役会の議題だけでなく経営情報に関して事前に情報共有。
  • 経営陣幹部と社外役員とのミーティングを開催し、意見交換を実施。
  • 社外取締役対象の工場見学会などを実施。
社外取締役・監査役の意見
  • 社外役員に対するサポート体制は年々改善されている。
  • 資料の分量・内容は、さらに議論すべきポイントを理解しやすくする余地があるのではないか。
  • 事前説明はさらに充実の余地があるのではないか。
2023年度の取り組み方針

社外役員に対する経営情報の共有に努めるとともに、社外役員間の意見交換の場を設けるなど、議論の活性化に努める。

2022年度取締役会・諮問委員会などの開催実績
(回)
  2022年 2023年
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
取締役会 1 2 2 0 1 2 0 1 2 0 1 2 14
監査役会 0 2 2 1 1 0 0 0 1 0 0 1 8
指名・報酬諮問委員会 1 0 1 0 0 0 1 0 0 0 1 1 5
オフサイト・ボード会議 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1
社外役員と経営陣の意見交換会 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 2
経営戦略会議 1 2 2 2 2 2 1 3 2 1 3 2 23

取締役会での重点テーマ

① 中長期戦略(次期中期経営計画の策定)

業務執行部門より、中期経営計画「Forward 22」(2020-2022年度)の振り返りとして、グローバルな社会情勢の変化や当社グループを取り巻く市場環境の変化が報告され、これらの変化に対応すべく、新たに2050年にめざす姿である「サステナブルビジョン」を策定すること、その実現に向けたマイルストーンとして、従来の長期ビジョン「Kanadevia 2030 Vision」を一部見直すことおよびこれら長期の経営ビジョンの実現に向けた第一ステップとなる新中期経営計画「Forward 25」(2023-2025年度)を策定することについて提案がありました。
これらの提案に対し、社外取締役および社外監査役より、長期ビジョンおよび新中期経営計画の財務目標の実現性、施策のKPI設定による進捗状況のフォロー・評価の必要性、事業投資戦略の具体的な方針とリスク管理のあり方、全社の重要課題である人的資本の強化策の進め方など、それぞれの専門性に基づいた幅広い視点で意見が出され、活発な議論がなされました。採決の結果、本議案は原案通り承認されました。

② 事業ポートフォリオ・マネジメントの推進(舶用エンジン事業の分社化・今治造船株式会社との協業)

業務執行部門より、舶用エンジン事業の収益性の向上を図り、経営リスクを低減するため、今治造船株式会社(以下、今治造船)の資本参加の下、本事業を行う新会社を設立することについて提案がありました。業務執行部門は、今治造船との協業の必要性として、①販売供給網の強化による売上拡大、②資材調達の最適化によるコスト低減と生産性向上による収益力の改善、③次世代燃料対応のエンジンの開発および供給によるGHG(温室効果ガス)排出量削減への貢献の3点を報告しました。
この提案に対し、社外取締役および社外監査役より、事業ポートフォリオにおける舶用エンジン事業の位置付けを整理する必要性、今治造船との協業条件、新会社の人材採用・育成方針などについて指摘を受け、活発な議論がなされました。採決の結果、本議案は原案通り承認されました。

役員報酬

取締役の報酬は、定額報酬と業績連動型賞与で構成され、株主総会決議による総額の範囲内で決定しています。社外取締役の報酬は独立性確保などの観点から定額報酬のみとしています。
各経営幹部・取締役の報酬を決定するにあたっては、指名・報酬諮問委員会から取締役会に報酬制度、報酬水準に関する答申が行われ、取締役会の決議に基づき決定します。また、同委員会では、取締役の報酬が健全なインセンティブとして機能するよう報酬制度、報酬水準を定期的に検証しています。
なお、役員退職慰労金制度は廃止しています。

経営陣幹部・取締役候補者の選定方針

当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するためには、最高経営責任者(CEO)などの後継者育成は、当社グループ経営における最も重要な戦略的意思決定の一つであると認識しています。
経営陣幹部については、当社グループを率いて企業理念を実現するにふさわしい発想・能力・行動力を有する人物であることを求めており、選定・解職にあたっては、指名・報酬諮問委員会における審議を経て、取締役会にて審議決定することとしています。
取締役・監査役については、人格・見識に優れ、各役職に求められる責務を的確に遂行する知識や経験、能力を有する人物を、社外取締役・社外監査役については、企業経営に関する豊富な経験、専門的な知識および幅広い見識を有し、当社の独立性基準を満たす人物を候補者としています。
後継者育成計画については、指名・報酬諮問委員会における諮問を経て、2020年2月に取締役会でその方針を決定しました。現在、同計画に基づき、CEO候補者の育成を進めている段階です。進捗状況を定期的に指名・報酬諮問委員会に報告しており、同委員会の助言を得て着実に人材育成を進めています。

CEOのあるべき姿
  1. 1企業理念を実践した行動ができること
  2. 2経営トップの激務を果たすだけの十分な気力・体力があること
  3. 3経営トップとして実現したいことがあること(価値観・向上心・執着心)
  4. 4経営トップとして十分なパーソナリティをもっていること(人格・品格・誠実性・聡明さ)
  5. 5志・夢・哲学など人間的魅力を備え、職員全員から信頼される存在であること
  6. 6未経験の事業でも理解に努め、長期的視点を持ち、経営を実践できること
  7. 7不透明な状況下でも冷静・的確に意思決定を下し、その責任を全うできること
  8. 8経営トップの職務を担うのに十分な知識・スキルを有すること
  9. 9変革へのマインドを持ち続けイノベーション創出に繋げられること
  10. 10経営トップとしてビジョンを打ち出し、職員全体を引っ張れること

スキル・マトリックス

当社グループの持続的な成長、経営目標の実現などを念頭におき、取締役会全体として備えるべきスキルを検討し、指名・報酬諮問委員会での審議を経て取締役会で決定しました。

主な考え方
■ 企業理念にある「技術と誠意」、技術立社を標榜する会社として、技術に関するスキルは必須
■ 当社の経営戦略である海外事業の拡大、ICT等を活用したサービスの伸長(安定した収益源)に貢献できるスキル
■ 上記を推進するために必要なコーポレート機能、ガバナンス機能を発揮できるスキル
スキル・マトリックス判定基準
企業経営 当社、当社グループ会社または他の会社のトップ(常勤の会長、社長、副社長等代表取締役)経験者
営業・マーケティング・イノベーション 営業部門の部以上のライン長経験者※、営業企画部門長経験者
研究開発 技術系役員(理工系出身で開発系部門経験者)
見積・設計・製造・調達 技術系役員(エンジニアリング・工場部門経験者)、調達部門長経験者
財務会計 経理・財務部門の部以上のライン長経験者※
人材開発・ダイバーシティ 人事・総務部門の部以上のライン長経験者※
法務・リスク管理 法務部門、リスク管理部門の部以上のライン長経験者※
ICT・デジタル ICT部門の部以上のライン長経験者※
グローバル 海外駐在員経験者、海外現地工事におけるプロジェクト・マネージャーならびにプロジェクト・マネージャー相当の役職経験者
※ 管掌・担当役員のみの経験者は除く

役員におけるスキル・マトリックス

取締役・監査役
役職
(2023年7月1日時点)
性別
水色の丸は女性)
企業経営 営業・
マーケティング・
イノベーション
研究開発 見積・
設計・
製造・
調達
財務会計 人材開発・ダイバーシティ 法務・
リスク管理
ICT・
デジタル
グローバル
取締役 代表取締役
取締役社長 兼 CEO
三野 禎男
  丸 丸 丸 丸          
常務取締役
鎌屋 樹二
          丸   丸   丸
常務取締役
芝山 直
    丸 丸 丸         丸
常務取締役
桑原 道
  丸       丸 丸 丸   丸
社外取締役
リチャード R. ルーリー
              丸   丸
社外取締役
庄司 哲也
  丸 丸       丸   丸 丸
社外取締役
坂田 信以
水色の丸 丸   丸         丸  
社外取締役
堀口 明子
水色の丸 丸         丸   丸  
監査役 常勤監査役
山本 和久
    丸 丸 丸          
常勤監査役
森方 正之
    丸     丸   丸    
社外監査役
安原 裕文
  丸       丸       丸
社外監査役
荒木 誠
  丸 丸         丸 丸  
執行役員
役職
(2023年7月1日時点)
性別
水色の丸は女性)
企業経営 営業・
マーケティング・
イノベーション
研究開発 見積・
設計・
製造・
調達
財務会計 人材開発・ダイバーシティ 法務・
リスク管理
ICT・
デジタル
グローバル
専務執行役員 木村 悟   丸     丸          
小木 均     丸              
大倉 雄一   丸 丸     丸   丸   丸
常務執行役員 司城 充俊   丸     丸         丸
河津 知則     丸     丸   丸   丸
橋爪 宗信   丸             丸  
島村 真二   丸   丸 丸       丸 丸
執行役員 井部 隆     丸             丸
岩下 哲郎           丸   丸    
安田 俊彦       丸 丸          
中村 敏規           丸        
鎌屋 明         丸          
巻幡 俊文             丸      
宮崎 寛           丸   丸    
日南 孝一       丸 丸          
貝淵 剛一         丸         丸
藤田 孝     丸 丸 丸          
近藤 守       丸 丸          
岩永 匡           丸   丸   丸
峰村 健     丸