気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)

基本方針

当社グループは、カーボンニュートラルを成功の柱の一つと定め、気候変動対応に取り組みます。

TCFD提言に基づく情報開示方針

当社は、2021年3月に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同しており、TCFD提言に沿って、ステークホルダーの要請を意識した積極的な情報開示を進めます。

ガバナンス

当社グループは、気候変動対応を経営上の重要課題と位置づけています。
気候変動関連の取り組みは、取締役会の下部機関であるサステナビリティ推進委員会と3つの下部委員会がカーボンニュートラルに関わる経営方針、事業活動の方針・戦略について審議するとともに、諸施策の実施状況などの報告を受けています。具体的な業務戦略は、経営会議・サステナビリティ推進委員会での審議決定を踏まえて実行されます。
詳細は、サステナブル経営の推進体制をご覧ください。

第三者意見

気候変動を含むサステナビリティ課題に対する当社グループの取り組みについて、外部有識者の意見・助言を求め、サステナビリティ推進活動に反映させています。2023年3月期は、サステナビリティ推進プロジェクトについて、意見を求めました。
詳細は、サステナビリティに関する項目をご覧ください。

戦略

シナリオ分析

<シナリオ分析の方針・プロセス>

当社は、2021年3月にTCFDが提言する気候変動のシナリオ分析を実施し、気候変動リスク・機会の選定、財務インパクトの定性評価を行いました。

<選定したシナリオ、対象事業、対象時期>

当社では、短・中・長期の時間軸に分けて、現在から2050年までを対象に、4℃、2℃および1.5℃シナリオを用いて分析しています。

主要シナリオ 移行リスク・機会:IEAによるNZE,SDS,STEPS
物理リスク・機会:IPCCによるRCP1.9、2.6、8.5
対象事業 ごみ焼却発電事業、バイオガスプラント事業、風力発電事業
対象時期 2050年
注) IEA: 国際エネルギー機関 (International Energy Agency)
   NZE: Net Zero Emissions by 2050 Scenario
   SDS: Sustainable Development Scenario
   STEPS: Stated Policies Scenario
   IPCC: 気候変動に関する政府間パネル
      (Intergovernmental Panel on Climate Change)
   RCP: Representative Concentration Pathways

<2℃前後上昇する想定における社会将来像>

2℃シナリオでは、再生可能エネルギーの普及や温室効果ガス排出の抑制に向けた政策が進展し、原材料価格や炭素税による費用上昇の影響を受けます。一方、再生可能エネルギー比率が高まり、ごみ焼却発電施設だけでなく、バイオガスプラントや洋上風力発電の需要が増加すると期待されます。特に新興国ではごみ処理の需要が伸びることが予想されます。一方で、先進国でごみ発生量の抑制が進み、ごみ処理需要の成長が鈍化する可能性を視野に入れて、各地域の動向を随時モニタリングしながら、持続的成長のための技術革新に向けた研究開発を推進していきます。

項目

想定される変化・世界観

財務影響度

対応策

概要
リスク機会

シナリオ
4℃ 2℃ 1.5℃
移行 リスク 炭素税の導入
リスク

カーボンプライシングの適用により、操業コストが増加

リスク

国境炭素調整が導入された場合、資材・設備の輸出入に係るコストが増加する可能性

 
  • GHG排出量の削減目標とロードマップの設定
  • カーボンニュートラル製品開発
  • ICPの導入を検討
  • GX(グリーントランスフォーメーション)リーグに参画(2023年5月)
原材料価格の高騰
リスク

エネルギー多消費型資材・設備(鉄・銅・セメント・プラスチック等を原材料とするもの)の調達コストが増加

 
  • 原材料価格の高騰に対して、価格転嫁、オープンブック契約で対応
  • 炭素負荷の少ない原材料(を使用した資材・設備)への切替を行う
  • 炭素負荷の大きい原材料(を使用した資材・設備)の使用を控える
リスク・機会 政策・規制・エネルギーミックスの変化 ごみ焼却発電施設

再エネ比率はシナリオによって大きく変化

(ごみ焼却発電施設)

リスク

気温上昇を抑えるために、サーキュラーエコノミー、プラスチックおよびフードロス関連規制が強化され、ごみ処理量が減少

リスク

ごみ焼却発電が先進国で再生可能エネルギーとして 扱われなくなり、新設需要が鈍化

機会

新興国の経済成長に伴うごみ発生量増加・埋立問題のソリューションとして海外市場が大きく成長

(バイオガスプラント・風力発電プラント)

機会

低炭素社会では、市場が大きく拡大(特に、洋上風力)

 
  • シナリオ別の戦略オプションを用意し、政策・規制・エネルギーミックスの変化を踏まえた事業ポートフォリオの変更を行う
  • EPCのみならずプラントの長寿命化等の需要に対応できるようO&Mにも注力する
  • サプライチェーン企業等を巻き込むなどしてエコシステムを構築し、市場拡大の機会に備える
  • オープン・イノベーションやM&Aも活用し、廃棄物資源から多種多様な有価物を回収・活用するWaste to X 事業を拡大する。
  • 自社保有技術と豊富な納入実績を強みに、将来予想される新興国におけるごみ発生量増加問題の解決に貢献する
  • バイオガスやポストコンバッションなど、焼却以外の方法による廃棄物からのエネルギー回収方法について研究開発を推進する
  • バイオガスプラントの自社での建設・所有・運営事業(BOO)を推進し、欧州における再生可能エネルギー転換推進に貢献する
  • 日本国内では、NEDOの委託事業を通じて、洋上風力発電の導入拡大への取り組みを行い、洋上風力発電の導入に貢献する
  • サプライヤーと共にサステナブル調達を推進
バイオガスプラント  
風力発電プラント    
物理的 リスク・機会 自然災害の激甚化
(洪水、落雷など)
リスク

洪水、台風、豪雨、落雷等の自然災害により、プラントが損傷し、原状回復のための追加コストが発生、また、DBO案件では停止期間の売上げが減少

機会

損傷を受けた施設の修繕工事発注が増加

   
  • 過去被害額をもとに、年間の対策費用を十分に確保する
  • 自然災害をカバーする保険への加入も含めたBCP対策を進める
  • ICT技術の活用により、災害時にもごみ焼却施設や汚泥再生処理センターなどの社会インフラが停止しない体制を構築する
  • フラップゲート(可動防波堤)をはじめとする激甚災害に対する防災インフラ技術を幅広く展開する

成功の柱の設定

シナリオ分析の結果は、中期経営計画に反映するとともに、サステナビリティ推進プロジェクトにおいても確認、検討し、「成功の柱」の設定の背景となる社会課題の認識、「成功の柱」に係るリスクと機会の分析、施策およびロードマップに反映しています。
なお、外部環境の変化やニーズ・期待の変化を適切に中期経営計画等事業計画に取り込むために、「成功の柱」は3年から5年を目途に見直す予定です。外部環境の変化を適切に捉えるため、シナリオ分析も同じタイミングで見直す予定です。

指標と目標

GHG排出量削減目標
2025年度 2030年度 2050年度
Scope1,2 2013年度比34%減 - -
Scope1,2,3 - 2013年度比50%減 カーボンニュートラル
2050年度のカーボンニュートラルは、当社グループの排出量から吸収除去・オフセット量を差し引き、第三者のGHG削減貢献量を含めて実質ゼロにすることをいいます。

実績

Scope3

FY2022概算  33,078kt-CO2e

【主なカテゴリ】
カテゴリ11(販売した製品の使用)   31,839kt-CO2e
カテゴリ 1(購入した製品・サービス)  1,142kt-CO2e

Scope1,2

売電事業の需要減少に伴うLNG投入量の減少、グリーン電力の導入推進等により、Scope1+2のGHG排出量は、基準年度に比べ39.3%減少し、224.5kt-CO₂eでした。

Scope3

サプライチェーンにおけるGHG排出量は、33,078kt-CO2e(2023年3月期概算)でした。カテゴリ11(販売した製品の使用)の排出量が最も多く、31,839kt-CO2eであり、主に舶用エンジンのライフサイクル排出量です。

気候変動とリスク管理

気候変動に関わる各国・地域の政策は、各事業の収益性、持続可能性に大きな影響を及ぼします。当社グループでは、IEA(国際エネルギー機関)等の複数の気候変動シナリオを活用し、影響が大きい事業のシナリオ分析を実施し、リスクと機会の両側面での影響を把握し、「成功の柱」を検討しました。また、新規事業参画や拡張、事業撤退に際しては、リスク管理各部署が相互に連携し、識別・評価・管理を実施しています。
今後は、定量的・定性的基準に基づきリスクの重要性を判断し、取締役会、経営会議等による審議、代表取締役による決裁における推進可否や対応を決定する仕組みを確立します。

取り組み

製造プロセス

自社の燃料転換、エネルギー自給率向上、省エネ設備導入を進め、Scope1、2をゼロにします。

2030年
  • Scope1、2 50%削減(2013年度比)
  • 舶用エンジン試運転燃料の燃料転換推進
  • 再生可能エネルギーへの切替(設備切替)推進
2040年
  • 自家発電導入、自社技術活用による脱炭素化推進
2050年
  • 大型蓄電池併用による電力平準化推進
  • 再生可能エネルギーへの切替(設備切替)完了
2023年の状況
  • 舶用エンジン試運転燃料の燃料転換推進
  • 変圧器、空調機器等を計画的に更新、レイアウト最適化・省スペース化推進

Scope3対応

製品のライフサイクル全般でGHG排出量削減に取り組むとともに、製造委託先やサプライヤーにも削減を働きかけます。

2024年
  • Scope3 データ開示開始
  • 削減策検討開始
2050年
  • Scope1,2,3 カーボンニュートラル
2023年の状況
  • Scope3算定ロジック確立、2022年度概算算定、対策検討開始
  • サプライヤーへのSAQ実施