ごみ焼却発電施設における当社独自の酸性ガス処理システムが日本産業機械工業会・第47回優秀環境装置表彰の「経済産業省 産業技術環境局長賞」を受賞

2021年07月15日

 このほど、ごみ焼却の過程で発生する排ガスに含まれる酸性ガスの当社独自の乾式処理法となる「消石灰を利用した酸性ガス高度除去集じん灰再循環システム」が、一般社団法人日本産業機械工業会が主催する第47回優秀環境装置表彰において「経済産業省 産業技術環境局長賞」を受賞しましたので、お知らせします。

授賞式の写真
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 ごみ焼却の過程で発生する排ガスには、塩化水素(HCl)や硫黄酸化物(SOx)に代表される酸性ガスが含まれており、従来は湿式処理法を用いて、大気汚染防止法で定められた酸性ガスの基準値よりさらに厳しい自主規制値である10ppm以下を達成してきました。

 今回受賞したシステムでは、独自の乾式処理法を用いて10ppm以下を達成し、大幅なコスト削減を実現しました。特定の試算条件による建設費を含めた20年間の経済性評価では、湿式処理法と比較した運転収益は1.4倍になり、酸性ガスの処理法として高く評価され今回の受賞に至りました。

 酸性ガスを高度に除去できる湿式処理法は、酸性ガス処理のための洗煙塔および洗煙に伴う排水処理設備などが必要なため、建設コストが高くなり設置面積も大きくなることや、窒素酸化物(NOx)除去のため湿式洗煙によって温度が低下した排ガスを蒸気によって再加熱して触媒反応塔に導くため、蒸気使用量が乾式処理法より多くなり、発電端効率が低くなるという課題があります。

 本システムは、洗煙塔や排水処理設備が不要な乾式処理法で10ppm以下を達成しており、環境面、コスト面でも優れた酸性ガス処理が可能です。

 当社は2016年に本システムの開発を完了し、昨年納入した可燃ごみ処理施設(浅川清流環境組合、ストーカ式焼却炉:228t/日=114t/日×2炉、発電出力:5,190kW)に初導入しました。現在、当社が建設中の施設を含めて9施設で採用されており、5施設で稼働しています。当社は、本システムを積極的に提案し、ごみ焼却電施設の建設を計画する自治体などの建設予算削減や発電端効率アップによる売電収入の増加に貢献していきます。

 当社は、1965年に日本で初めての発電設備付きごみ焼却施設を大阪市に納めて以降、廃棄物発電分野におけるリーディングカンパニーとして環境に優れた技術の開発に努めてきました。近年では、AIやICTを活用した焼却炉の自動燃焼制御・自動運転などにも取り組んでいます。 ごみ焼却発電施設は、地産地消のエネルギー施設や災害発生時の防災拠点としての役割が期待されるなど重要性が高まっていますが、環境規制を守る最新技術の開発を通じ、当社は今後もSDGsに貢献していきます。