米子陸上養殖センターが竣工 ~ニッスイグループと共同~

2020年05月08日

 日立造船株式会社(取締役社長兼COO 三野 禎男、大阪市住之江区、以下「日立造船」)と日本水産株式会社(代表取締役社長執行役員 的埜 明世、東京都港区、以下「ニッスイ」)および同社の連結子会社である弓ヶ浜水産株式会社(代表取締役社長 竹下 朗、鳥取県境港市、以下「弓ヶ浜水産」)がかねてより建設していた「米子陸上養殖センター」が、5月1日に竣工し、5月下旬より稼働を開始します。

 ニッスイおよび弓ヶ浜水産と日立造船の三者は、国内初となる大規模なマサバ循環式陸上養殖の共同開発に取り組むことで昨年2月15日に合意しており、本センターはその拠点となります。

 この共同開発では、ニッスイおよび弓ヶ浜水産が保有するマサバ養殖の知見と、日立造船が保有する水処理技術を組み合わせて、外海の海水を使用しないことによりアニサキスなどの寄生虫や魚病などのリスクを低減させ、自然環境に左右されないマサバの安定供給を目指しています。

 本共同開発が採る循環式陸上養殖システムでは、地下海水(地下から汲み上げた海水に近似する塩分を含む地下水)の利用と、日立造船の水処理技術を活用した循環水処理システムにより、水温・水質をコントロールし、マサバの生育に最適な環境を保つことが可能です。

 なお、この共同開発は2023年3月末までを開発期間とし、同年4月に事業化する見通しです。

【本実証施設で取り組む課題】

  • 飼育水中の固形物除去の効率化

システム内で発生する残餌、排泄物などの固形物は、飼育水の水質悪化の要因となるため、速やかに系外に排出する必要があります。日立造船の流体シミュレーション技術(水槽内の水流をコンピュータ上で再現する技術)を活用し、固形物除去の効率化を目指します。

  • 硝化処理の効率化

養殖魚から排出される排泄物や残餌由来のアンモニアは、養殖魚にとって毒性が高いため速やかに分解除去が必要です。この硝化処理に、日立造船が開発した、工場排水などの生物処理で多くの実績を有する浮遊性ろ材を活用した硝化処理システムを適用して効率を上げ、硝化設備のコンパクト化、イニシャルコストの低減を目指します。

  • ランニングコスト低減の為の省エネ化

システムの効率的な運転手法の開発や運転制御の導入等により省エネを図り、電気代等のランニングコスト低減を目指します。

  • 生産技術、養殖管理技術の確立

養殖魚にとって最適な生育条件(水温・水質・水流・光周期等)を見出し、それらを人為的にコントロールする生産技術・管理技術を開発し、高い養殖生産性を実現することを目指します。

 今回の両社の共同開発を通して、システム全体のパッケージ化により競争力のある陸上養殖システムを構築して、国内での循環式陸上養殖の産業化を目指します。これによって持続可能な水産物の安定的供給への寄与を狙います。

【設備概要】

名  称:弓ヶ浜水産株式会社米子陸上養殖センター

所 在 地:鳥取県米子市淀江町

敷地面積:約6,500㎡

主な施設:飼育用水槽8基、出荷用水槽2基、循環水処理設備一式

【外  観】
米子陸上養殖センター外観.jpg

【弓ヶ浜水産株式会社 会社概要】

本社所在地 :鳥取県境港市竹内団地205

代  表  者:代表取締役社長 竹下 朗

設    立:2013年12月16日

資  本  金:1億2,500万円

事 業 内 容 :ギンザケその他魚類の養殖、水産物加工および販売