医薬容器向け電子線タブ滅菌機を開発 ~ 自社製電子線エミッタにより低コストを実現、築港工場で性能試験装置が完成 ~

2020年02月13日

~ 自社製電子線エミッタにより低コストを実現、築港工場で性能試験装置が完成 ~

医薬容器向け電子線タブ滅菌機を開発

 日立造船株式会社は、このほど、医薬品の包装容器(以下、タブ)の外表面を滅菌するための電子線タブ滅菌機を開発し、サンプル提供・性能確認のための実機相当の試験装置を当社築港工場(大阪市大正区)内で完成させました。

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【電子線タブ滅菌機の性能試験装置】

 タブにはバイオ医薬品やワクチンが入ったシリンジなどが納められますが、シリンジに薬剤を充填するには空のシリンジが収納されたタブ表面を滅菌する工程と、無菌充填機でシリンジに薬剤を充填する工程が必要です。

電子線タブ滅菌機は、タブの外表面の滅菌に電子線を使用するものであり、滅菌方法として有望視されていましたがコスト面に課題があり、日本のみならず海外でも普及するに至っておりません。
当社は、電子線エミッタ(照射器)および滅菌装置の双方を自社製造できる日本唯一のメーカーであり、本装置の開発にあたってはシステムを最適化することで製造コストおよびランニングコストを抑えることに成功しております。

タブの主な用途であるプレフィルドシリンジ(薬剤が入った注射器)は、医療現場での感染症のリスクの軽減や投与量の間違いを防ぐといったメリットがあり、今後は抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品の分野でさらなる需要拡大が期待されています。


【当社電子線タブ滅菌機の特長】
1.イニシャルコストが約70~80%(海外製品との比較)
2.メンテナンスコストが50%以下(海外製品との比較)
3.人手作業を最小限に抑えた量産ラインに適した設計
4.既設の充填ラインへの接続や充填機を含む新規の全体システムの提案が可能

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【自社開発の電子線エミッタ】


 当社は、2012年にペットボトル充填機向けに電子線滅菌技術を導入して以降、電子線技術を応用した製品開発を重ね、2018年には再生医療分野向けの滅菌機「電子線滅菌/除染パスボックス」を開発しております。電子線エミッタと滅菌装置の双方を製造できる国内唯一のメーカーとして、今後も医薬・再生医療分野への電子線滅菌技術の適用を図っていきます。

 なお、本性能確認装置の概要は以下のとおりです。

1.製品名称 電子線タブ滅菌機
2.装置寸法 約 W1.3×D2.8×H2.7m
(処理能力2タブ/分の場合)
3.滅菌能力 無菌性保証水準 (SAL) 10-6以上
4.処理能力 2タブ/分
※実機では6タブ/分まで対応可能