舶用SCRシステムに最適な尿素水製造装置を新発売 ―安定かつ低コストのNOx排出抑制に寄与―

2019年05月17日

日立造船株式会社は、舶用エンジンに搭載されるSCRシステム用に尿素水製造装置(UDSシリーズ)を新たに開発し、販売を開始しました。本装置は、NOx(窒素酸化物)を除去するSCRシステムの還元剤として使用される尿素水を尿素の粉末と船内の造水装置で得られる蒸留水から製造するものです。尿素水貯蔵タンクがコンパクトになり、船内で低コストかつ高品質な尿素水を製造することができ、安定的なNOx排出の抑制に寄与します。

尿素水の製造フロー

本装置は、シンプルな構成機器をコンパクトなスキッド上に配置しました。そのため操作は容易で、尿素粉を投入すれば尿素水が全自動運転で製造されます。製造工程は下記a~dのとおりで、尿素水の製造にかかる所要時間は約4時間です。

  1. a本体電源の投入
  2. b尿素粉末の投入とタッチパネルに投入量入力
  3. c自動で尿素製造・濃度調整
  4. d尿素水保管タンクへの移送
A:遮断弁、FC:流量センサ、HH:液面レベルスイッチ、P:尿素水ポンプ、CC:濃度センサ

特長

  1. 1尿素水の使用量に応じて選択いただける3機種のラインナップ
  2. 2規制海域におけるSCRの運用に応じた尿素水製造量の最適化が可能
  3. 3試験船での豊富な運用実績で培った高い信頼性と容易な操作性
  4. 4尿素粉末の投入による落下衝撃や船体動揺によるスロッシング(液体の揺れ)に耐える優れた耐衝撃性能
  5. 5持ち運びや温度管理が容易で長期保管に適した尿素粉末を採用
  6. 6尿素水保管タンクの小型化に寄与

主な仕様

型番 UDS-1000 UDS-500 UDS-300
1. 最大投入量 1,000kg 500kg 300kg
2. 最大製造量 2,500kg 1,250kg 750kg
3. 製造濃度 40%(ISO18611相当)    
4. 製造所要時間 約4時間(バッジ式)    
5. 外形寸法 W2,200mm W2,170mm W2,000mm
D2,000mm D2,000mm D1,900mm
H1,900mm H1,800mm H1,400mm
※手摺は含みません

本装置はこのほどヤンマー株式会社(大阪市北区、山岡 健人 社長)から初号機を受注しており、2019年8月頃に出荷し、同社が製造するディーゼル発電機関及びSCRシステムとともに、今治造船株式会社(愛媛県今治市、檜垣幸人 社長)で建造される船舶に搭載される予定です。
当社はIMO(International Maritime Organization:国際海事機関)が定める船舶航行時のNOx排出量削減に関する第3次規制への対応として、今後も普及が見込まれる舶用SCRシステムに対して本装置の拡販を図っていきます。